前置き
「フットオンエア」という”イングランドプレミアリーグを中心にフットボールの話をどこよりもゆるく話すPodcast“を運営しているきょうへいと申します。
第4節バーンリー戦のマッチレビューを書いていこうと思います。
代表ウィークも明け、週2日の試合が続く過密日程が控えている中での大事な初戦。
早めに複数得点して少し主力を休ませられたら…なんて発想はプレミアリーグではやはり禁物ですね。
バーンリーのカチカチの5-4-1ブロックの前に手こずり、結果として結構な選手を最後まで引っ張ることになりました。

(引用:X@LFC)
ミッドウィークにはCLアトレティコ、次節はマージーサイドダービー、さらに6節はコミュニティシールドでは敗戦を喫したクリスタルパレスと難敵が続きますが
上手くローテーションしながら各コンペティションを戦い抜いてもらうことを期待します。
というわけで本編の4節マッチレビューに参りましょう。
試合結果


この日はスロットの信頼を完全に勝ち取ったソボスライが右のサイドバックを引き続き担当。残りのスタメンも全体的に現状のベストメンバーと言える布陣でスタートしました。
注目のイサクはベンチ入りせず。スロットによると早くてミッドウィークのアトレティコ戦から考えているようですね。
試合の展開としてはバーンリーは5-4-1のブロックを作りカウンターからの一発狙い。
リバプールは押し込んでブロックを攻略する、といった形で完全なハーフコートゲームが90分通して展開されました。
バーンリーのブロックの集中力が非常に高く得点を奪いきれず焦りながら迎えた後半アディショナルタイム、フリンポンのクロスがハンニバルの腕にヒットしPKの判定。
これをエースのサラーが見事に沈めギリギリでの勝利をもぎ取りました。
Embed from Getty Images自分のリアルタイム時の前半総括と試合総括も合わせて載せておきます。
語りたいポイント
Positive
被カウンターリスクの排除
フットボールにおいて、押し込んだ試合でロングボールやセットプレーの一発で失点し0-1で負ける展開はけっこうなあるあるだと思うのですが、
この試合のリバプールが相手にチャンスを作らせなかったことは評価しても良いと思います。
実際にスタッツで見てもバーンリーはシュート3本で枠内は0本、xG(ゴール期待値)で0.13とノーチャンスでした。
相手のxGが一番高いシュートは前半7分のアントニーのシュートでそれでもxGは0.11。
繋ぎのミスを奪われてエリア前まで運ばれたシーンで、それ以外のシーンでは相手のロングボールに対しての競り合いも負けずボールを上手く回収できていたように思います。
下に添付した表の赤枠は左からデュエルの合計値、地上戦数値、空中戦数値のスタッツになりますが
それぞれの勝率のデータを見るとリバプールの鉄壁CB2人の鉄人ぶりがよくわかる数値になっています。

(引用:Sofascore)
相手が苦しい状態で蹴っているということを加味してもゴールに迫る隙を与えなかった2人はよくやったと言えるでしょう。
Embed from Getty Images加えて、ボールを失った時の即時奪回はクロップの教えが哲学として染み込んでおり、
そのプレスの鋭さがカウンターの起点潰しに大きく貢献していることも改めて認識しておくべきでしょう。
フラーフェンベルフのチャンスメイカーぶり
この試合でも思わず「上手い」と声が出るような絶妙なターンをいくつも披露していたフラーフェンベルフ。(公式でも取り上げられていますね🔥)
この試合の彼のすごさはそれだけには留まらず、シュートの創出回数のスタッツでも驚異の値を叩き出していたので紹介します。
下に添付した表はこの試合のSCA(Shot Creating Action)を多い順にソートしてトップ5を並べたものなのですが、(出場時間が違うのでその点に留意してご覧ください)
ご覧の通りフラーフェンベルフは2位のヴィルツの約2倍となる13回という数値を叩き出しています。

(引用:FBREF)
後ろからボールを引き受けて運び、シュートを打つ間合いまでの組み立てで大きく貢献していたフラーフェンベルフはこの試合の影のMVPだったと言えるでしょう。
Embed from Getty Imagesロバートソンの躍動
開幕からの3試合全て左サイドバックのスタメンはケルケズであり、ボーンマス戦の60分からの出場以外は出番がなかったロバートソン。
今節はケルケズが22分にシミュレーションでイエローカードを受けたため、リスクヘッジで38分からと長い時間の出場を果たすのですが、
ベテランとしての存在感を見せつけ勝利に大きく貢献しました。
最初のプレーでいきなり枠内シュートを放ち、72分には得点に迫るキエーザへの狙いすました良いクロスをあげるなど
印象に残るプレーも多いですがスタッツの面でも良い数値を残しています。
まずはフラーフェンベルフの章であげたSCA(Shot Creating Action)の数値ですが、
7回とチーム2位タイではあるものの90分換算では約11.9回と1位に迫る数字です。

(引用:FBREF)
さらにKey Passes(キーパス:パスを受けた選手がシュートを放ったがゴールに至らなかったパスのこと)の指標では1位となっており、

(引用:Sofascore)
ロバートソンを経由して多くの攻撃が行われていたことがわかります。
これには攻撃を多く展開していた左サイドのスタート地点が左サイドバックのポジションであることも影響していそうですが、
スクランブル的な途中出場でこの役割をきっちりこなしたロバートソンには拍手を送りたいです👏
あと付け加えるなら定性的な話ではありますが、ガクポは明らかにロバートソンとのコンビの方がパスを多く出しているように見受けられます。
これは単に長い時間コンビを組み間合いを理解しているからなのか、それともランニングの質に差があるのかは専門的なデータの分析もしくは本人たちの談が必要ですが気になるところです。
Embed from Getty ImagesNegative
シュート本数に対しての枠内シュートの少なさ
この試合リバプールは27本のシュートを放っていますが、実際に枠に飛んだのはPKも含めて4本しかありません。
プレミアリーグのレベルで自陣に閉じこもった相手を崩すのはどのチーム、どの監督も苦労しているので一定仕方ない部分はあるのですが、
今後こういった展開は何度も訪れるはずなのでスロット仕込みの打開策を期待してしまいます。
今夏リバプールはヴィルツとイサクという特別なピースを手に入れておりますし、ソボスライ、マカリスターからはパンチ力のあるミドルが飛び、ガクポとサラーの両翼はリーグ屈指の破壊力があります。
ポケットへのランニングでブロックを嘲笑うように崩していた21-22頃のシティのような、ブロック攻略のお手本をスロットが開発してくれる未来、こないかなあ。
Embed from Getty Images(「ここ」にあるよ顔のスロット)
続:サラーのスタッツ上の変化
後半アディショナルタイムの外せば勝ち点2を失うPKを見事に右上に蹴り込むサラー。流石エースといった完璧なキックでした。
あの場面でPKを決めてチームを勝利に導いたこと自体は素晴らしくサラーは変わらず僕らの王様なのですが、
90分のうち相手に脅威を与え続けることが出来たかという観点で見ると首を傾げざるを得ない出来であったことも事実です。
前回の記事でサラーの不調についてスタッツにどんな変化が起きているのかを見てみたのですが、もう一点今季変化が見られた箇所がありそちらも書いておこうと思います。
こちらはサラーのヒートマップを今シーズン(25-26)〜22-23シーズンまで並べたものになります。

(引用:Sofascore)
試合数が違うので一律にはいえないものの、
今シーズンのサラーは大外のレーンでのボールタッチが多くペナルティエリア内の一つ内側のレーンでボールに関与する数が減っていそうなことがこの図からは読み取れますね。
そして以下の表がサラーの90分換算のTake on(ドリブルでの仕掛けの数値。Attが試行回数、Succが成功回数)なのですが、
試行回数が大きく減っておりサラーは外からの仕掛けにおいて今季ドリブルでの突破をほとんど出来ていないということがわかります。

(引用:FBREF)
最後にこちらは今季のプレミアリーグのポジショニングマップを左から1~4節で並べたものになります。
明らかに選手が左寄りの配置になっておりサラーと近い距離感でのコンビネーションを作れそうな選手がいない状態です。

(引用:Sofascore)
つまり大外で渡されたサラーは独力では突破が難しい状況であるものの、周囲との連携で崩す選択肢も取りづらい八方塞がりの状態になっていると言えます。
この状態の回避には
・サラーのボールを受ける位置を一つ内側のレーンに設定する(大外はサイドバックがとる)
・サラーの周囲に人を配置しサポートを厚くする
などの方法が考えられますがスロットはどのような手を打ってくるでしょうか。楽しみにしたいところです。
あとがき
というわけで4節のマッチレビューでした、いかがでしたでしょうか?
劇的勝利が続き内容より多くの勝ち点を拾っているような状態ですが、開幕からのスタートダッシュを決めたことは本当に素晴らしいですね🔴
ここからは週2ペースの連戦が続き選手の疲労も蓄積されていきますが、果たして自分も週2でレビューの更新が出来るのかめちゃくちゃ怯えています。
せめて勝ち試合のレビューをたくさん書かせてくれよな、ということで次はCLアトレティコ戦のレビューでお会いしましょう。
それではまた次回のマッチレビューで!
第4節の感想を話しているPodcastも合わせてどうぞ⚽️
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